自由な発想で新たな一歩を踏み出す場

株式会社野村佃煮代表取締役社長 野村 啓介

自由な発想で新たな一歩を踏み出す場

 錦市場で、小さなお惣菜店として始まった野村佃煮。創業から80年以上、京料理を基本として鍛えてきた惣菜づくりの技と心をつなぎ、ちりめんじゃこや昆布などの素材の風味を生かした佃煮を作り続けてきました。その伝統の味を未来に引き継ぐため、若い世代にも広く愛される新しいちりめん山椒の開発にかけた思いとは。自由な発想で挑戦を続ける社長、野村啓介さんにお話を伺いました。

若い世代にも広く愛されるちりめん山椒を

 嵐山昇龍苑に出店しないかというお声かけをいただいたとき、同時に「これまでにない新規事業にチャレンジをしてほしい」というお話をいただきました。これまで、錦市場を中心に野村佃煮として店舗を展開してきましたが、佃煮の主な購買層は50代以上。ちょうどその頃は、もっと若い世代のお客様にも受け入れていただけるような、新たなアイデアが必要だと考えていた時期でもあって。「これは思い切って挑戦するチャンスだ」と思ったんです。そこで、おみやげ物としても人気の高いちりめん山椒を中心に、メニュー開発をスタートしました。

野村佃煮の味と技に裏打ちされた新アイテムが誕生

 私自身、挑戦してみたいと思っていたのが、世界各国の調味料やスパイスとちりめんを掛け合わせてみることでした。ただ、アイデアはいろいろと生まれるものの、「ちりめんとの相性は良いが工場での安定的に量産できない」「設備にカレーの匂いが付着する」「常温保存ができなくておみやげに向かない」といった課題が続出。やはり一緒に挑戦してくれる現場の思いも大切ですから、製造現場で扱いやすいか、効率的かつ安定的に供給できるか、検証と試作を重ねました。その結果、出来上がったのが現在の15アイテムです。さらに、ブランド名やロゴ、パッケージや店舗のデザイン全てを一新し、「嵐山ちりん」が誕生しました。

世界のスパイス×ちりめんでアレンジ自在

 ガラムマサラが効いた「カレーちりめん」、コチュジャンなどで味付けした「韓国風ちりめん」など、どれも新しい食べ方が楽しめる自信作。個人的には、イタリアンテイストの「トマトバジルちりめん」もオススメですね。ドライトマトやガーリック、バジルの風味が生きていて、パスタと和えたりトーストにのせたりアレンジ自在です。
一方で、私たちが長年追求してきた、伝統的なちりめん山椒も根強い人気です。ちりめんの食感は、煮込み時間が長いほどしっかり、短いほどソフトになり、また魚の大きさによって口当たりが変わるもの。当店では、甘辛く味付けした定番の味から、砂糖不使用で上品に仕上げた「はんなりちりめん」など、煮込み時間や味付けを変えた3アイテムをご用意しています。

「ちりめん トマトバジル」「ちりめん 韓国風」「はんなりちりめん」各種税込702円

何度訪れても発見がある老舗の魅力を感じて

 嵐山昇龍苑は、休憩場所として気軽に訪れていただきながら、老舗の味わいや技術を体感できる魅力的なスポットですよね。「嵐山ちりん」では、創業以来80年以上守ってきた技法で、伝統の味と品質を守りつつ、バラエティに富んだちりめん山椒をご用意しています。初めての方にとっても、リピーターの方にとっても新しい発見があるはず。何度でもお越しください。

竹林から大河内山荘庭園の横を抜けて落柿舎まで行くと、観光地の喧騒を離れてのんびりとした雰囲気を楽しめます。また、亀山公園から登ることができる頂上展望台は、竹林やトロッコ列車も一望できる穴場スポット。散歩コースとしてもオススメですよ。