酒蔵を構える亀岡とお客様をつなぐ新拠点

丹山酒造五代目当主 長谷川 渚

酒蔵を構える亀岡とお客様をつなぐ新拠点

 1882(明治15)年、長谷川酒造として創業した丹山酒造。嵐山の上流、保津川水系の豊かな水源と自然が残る、亀岡市に蔵を構える老舗酒造です。5代目を継ぐのは、当家の次女として生まれ、まだまだ女性が珍しかった杜氏の世界で10年以上の厳しい修行を重ねた長谷川渚さん。「酒造りは米作り、米作りは土壌から」を信条に、有機農法・農薬不使用による酒米の自社栽培、女性職人の視点を生かした新たな商品開発に奮闘する長谷川さんにお話を伺いました。

自然の恵みが詰まったお酒を嵐山から届ける

 これまで嵐山“上流”の酒蔵として知られてきましたが、嵐山の中心地に出店するのは初めて。嵐山昇龍苑で当社の商品を手にとっていただけるのは、喜ばしいことですね。蔵を構える亀岡と嵐山は保津川水系でつながっていますので、豊かな自然のなかで酒米から丹精を込めて作ったお酒だということを、よりイメージをしていただきやすいのではないでしょうか。また、お客様の層が厚いところも、国内外からたくさんの人が訪れる嵐山ならでは。若い世代や女性のお客様にも、気軽に立ち寄っていただけています。

シンプルだからこそ、一切妥協しない

 「酒造りは米作り、米作りは土壌から」。当社の酒造りに対する姿勢を表すモットーであり、大切に守ってきた思いです。日本酒の原料はお米と水だけ。とてもシンプルだからこそ、一切の妥協なく、こだわり抜くことができるかが全てだと思っています。
蔵を構える亀岡は、朝晩の寒暖差が大きく、粘土質の土壌が酒米づくりに適した土地。ですが、近年は農家さんの高齢化によって休耕地が増加しています。そこで約10年前から、こうした休耕地を生かして、酒米(山田錦)の自社栽培をスタート。有機栽培・農薬不使用にこだわり、安定生産を目指して試行錯誤しながら、作付面積を増やしてきました。現在、この山田錦を使用した商品は9割。全商品、地元の恵みでできた自社栽培米使用のお酒としてご提供できる日は近いと思います。

嵐山の風情を連想させる限定商品も

 丹山酒造で扱う日本酒は、全て醸造アルコール不使用の純米酒です。嵐山昇龍苑店で人気の商品といえば、ラベルに渡月橋が描かれた「雪月花 嵐山」。精米歩50%の純米大吟醸で、飲む人を選ばない、キリッとさわやかな口当たりが特徴です。フルーティーながらお米の風味も感じられて、食前・食後、食中酒として幅広いシーンでお楽しみいただけます。
また、純米酒好きの方にも自信を持っておすすめできるのが、自社栽培山田錦全量使用の嵐山昇龍苑限定「昇龍」。お米本来の深い旨味と香りが凝縮された、まろやかな口当たりの本格派辛口です。3種類あるラベルは、一筆龍絵師・手島啓輔氏に手がけていただきました。

「雪月花嵐山」720ml ・税込3,300円、「純米吟醸原酒 昇龍」720ml ・税込5500円

旅の余韻をおうちで楽しんでいただきたい

 コロナ禍で「おうち時間を楽しみたい」という方が増えているようで、高級なものをお求めになる傾向があります。店舗で試飲をしながら、よりお口に合うものをゆっくり選んでいただき、旅の余韻をご自宅で楽しんでいただけますとうれしいですね。

子どもの私にとって、嵐山といえば、法要などの特別なときに訪れる場所でした。特に、祖母に連れられて天龍寺さんを訪れたことをよく覚えています。そこでいただいた、しそ餅などの和菓子の味わいも懐かしいですね。